お悩み相談 スプーン爪の改善方法とは?原因からセルフケアのやり方まで解説

ふと自分の指先を見たとき、爪がスプーンのように反り返っていることに気づき、「これって何かのサイン?」「どうすれば治るの?」と不安に思っていませんか。その症状は「スプーン爪(匙状爪甲)」かもしれません。スプーン爪は、見た目の問題だけでなく、体の不調が原因で起こることもあります。
この記事では、スプーン爪になってしまう原因から、ご自身でできるセルフケア、そして食生活の見直しまで、わかりやすく解説していきます。正しい知識を身につけて、健康的で美しい爪を取り戻しましょう。

スプーン爪は、その名の通り爪の中央部がへこみ、先端が反り返ってスプーンのような形に見える状態を指します。医学的には「匙状爪甲(さじじょうそうこう)」と呼ばれます。特に、親指や人差し指、中指など、普段よく使う指に見られることが多いです。

スプーン爪(匙状爪甲)の主な症状

スプーン爪の主な症状は、爪の形状の変化です。本来、爪は指先に沿って緩やかにカーブしていますが、スプーン爪になると中央がへこみ、爪が薄くなる傾向があります。爪が割れやすくなったり、物に引っかかったりすることが増えるかもしれません。通常、痛みを伴うことはありませんが、見た目が気になったり、爪の強度が弱くなったりすることが主な悩みとなるでしょう。

参考:公益社団法人日本皮膚科学会-爪の病気Q&A

 

スプーン爪の最も一般的な原因として知られているのが、鉄欠乏性貧血です。鉄分は、血液中のヘモグロビンを作るために不可欠な栄養素であり、体中に酸素を運ぶ重要な役割を担っています。体内の鉄分が不足すると、爪を作るために必要な栄養も行き渡らなくなり、爪が薄く、もろくなってしまいます。その結果、指先にかかる日常的な圧力に耐えきれず、爪が反り返ってしまうことがあると考えられています。特に、月経のある女性や妊娠・授乳中の方、無理なダイエットをしている方は鉄分が不足しやすいため注意が必要です。

鉄分不足以外の主な原因

貧血以外にも、スプーン爪を引き起こす原因はいくつか考えられます。ご自身の生活習慣と照らし合わせてみましょう。

原因の種類

具体的な内容

物理的な圧迫

指先に継続的に強い力が加わる仕事(重い荷物を運ぶ、農作業など)や、サイズの合わない靴を履き続けると、爪が圧迫されて変形することがあります。

誤った爪の切り方

爪の両端を深く切りすぎる「深爪」や「バイアス切り」を続けると、爪が指の肉からの圧力を支えきれなくなり、反り返りの原因となる場合があると考えられています。

遺伝や他の疾患

まれに遺伝的な要因や、甲状腺の疾患などが原因で爪に異常が現れることも考えられます。

子供の爪が反っている場合の原因

大人のスプーン爪は貧血などが主な原因ですが、子供、特に乳幼児の爪が反っている場合は、少し異なる理由が考えられます。

 

赤ちゃんや小さな子供の爪は、大人に比べて非常に薄くやわらかいため、少しの外力でも反り返りやすい特徴があります。これは生理的な現象であることがほとんどで、多くの場合、成長とともに爪が厚く丈夫になり、自然と正常な形に戻っていきます。

 

活発にハイハイをしたり、指しゃぶりの癖があったりすると、指先に継続的な圧力がかかり、爪が反りやすくなります。また、裸足で遊ぶ機会が多い幼児の足の親指にも、同様の症状が見られることがあります。これらも一時的なものであることが多く、過度に心配する必要はありませんが、きつい靴を履かせていないかなど、指先への負担がないかは確認してあげましょう。

 

スプーン爪の対処法と改善ケア【セルフケア編】

スプーン爪の原因が鉄欠乏性貧血や生活習慣にある場合、セルフケアで改善が期待できます。今日から始められるケア方法をご紹介します。

 

鉄欠乏性貧血が原因の場合、食生活の改善が最も重要です。鉄分には、肉や魚に含まれる「ヘム鉄」と、野菜や豆類に含まれる「非ヘム鉄」があります。ヘム鉄の方が吸収率が高いとされています。

  • ヘム鉄を多く含む食品:レバー、赤身の肉、カツオ、マグロなど
  • 非ヘム鉄を多く含む食品:ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆製品など

また、ビタミンCは鉄分の吸収を助ける働きがあるため、ピーマンやブロッコリー、果物などと一緒に摂ることをおすすめします。

参考:厚生労働省eJIM|ビタミンC[サプリメント・ビタミン・ミネラル-医療者]

爪への物理的な負担を減らすことも大切です。爪を切る際は、先端をまっすぐに切り、角を少しだけヤスリで丸める「スクエアオフ」という形に整える方法があります。「スクエアオフ」は爪の強度を保ち、指先からの圧力に強い形です。

また、爪も皮膚の一部であり、乾燥するともろくなります。ネイルオイルやハンドクリームを使って、爪と爪の周りをこまめに保湿し、潤いを保つことを心がけましょう。

 

仕事などで指先に負担がかかる場合は、手袋を着用して爪を保護しましょう。足の爪が反っている場合は、つま先に十分なゆとりのある、サイズの合った靴を選ぶことが重要です。爪が圧迫されないように注意するだけで、変形の進行を防げます。

 

スプーン爪の治し方【病院での治療】

セルフケアを続けても改善が見られない場合や、貧血の症状(めまい、立ちくらみ、動悸など)を伴う場合は、医療機関を受診しましょう。

 

爪の異常は、まず皮膚科に相談するのが一般的です。皮膚科で爪の状態を診てもらい、鉄欠乏性貧血が疑われる場合は、内科への受診をすすめられることもあります。原因を特定するためにも、まずは専門医に相談することが大切です。

 

病院では、まず問診や視診で爪の状態を確認します。鉄欠乏性貧血が疑われる場合は、血液検査を行い、血液中のヘモグロビン値や鉄の貯蔵量などを調べます。検査を行うことで、スプーン爪の原因が貧血によるものかを正確に診断します。

 

血液検査の結果、鉄欠乏性貧血と診断された場合は、医師の判断・指示に基づいて鉄剤が処方が行われることがあります。貧血の状態が改善されると、伴って爪の状態も改善される場合があります。爪が完全に生え変わるには時間がかかるため、治療には数ヶ月単位の期間が必要です。

 

スプーン爪に関するよくある質問

ここでは、スプーン爪についてよく寄せられる質問にお答えします。

スプーン爪でもネイルはできますか?

はい、スプーン爪であってもネイルを楽しむことは可能です。 ジェルネイルなどで凹みをカバーして厚みを出し、見た目を補正する方法もあります。ただし、爪が薄くもろくなっている状態なので、オフする際に爪に負担をかけすぎないよう、信頼できるネイルサロンで相談することをおすすめします。

 

治療期間は、スプーン爪の原因や個人の爪の伸びる速さによって異なります。鉄欠乏性貧血が原因の場合、鉄剤の服用で貧血自体は数週間から改善が見られますが、変形した爪が健康な爪に完全に生え変わるには、一般的には手の爪で約半年、足の爪では約1年かかることもあります。根気強くケアを続けることが大切です。

 

まとめ

スプーン爪は、見た目の変化だけでなく、鉄欠乏性貧血といった体からのサインである可能性もあると考えられています。まずはご自身の生活習慣を見直し、食事改善や正しいネイルケアといったセルフケアを試してみてください。それでも改善しない場合や、体調に不安がある場合は、ためらわずに皮膚科などの医療機関を受診しましょう。

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