第12回は「爪の縦筋」についてです。
ふと爪を見たら、縦筋が入っていた経験はありませんか?
今回は、どうして爪に縦筋ができるのか、その経緯について杏理先生にお聞きしました。
爪の縦筋が突然目立つようになった場合、何か健康上の問題があるのでしょうか?
爪の縦筋は「爪甲縦条」と呼ばれ、誰にでも見られる症状です。20代までは目立たないものの、40歳以降で増えてくることが一般的といえます。加齢とともに目立ってきた縦筋については、病気のサインではないため心配は不要でしょう。
一方で、若い方に症状が見られたり、急に現れたりする場合は注意が必要です。外傷などの外的刺激や、栄養不足、ストレスなどの内的要因が原因となっている可能性があるためです。特に、手指を酷使する仕事や趣味がある方は、外的刺激による縦筋が生じやすい傾向にあります。
では、なぜ加齢とともに縦筋が目立つようになるのでしょうか。
年齢を重ねるにつれて、皮膚の水分量が減少してきます。これにより爪の水分も減り、縦筋が目立つようになっていくのです。また、加齢による爪母細胞の機能低下も、縦筋が目立つ原因の一つといえるでしょう。
爪の水分量が減ると、縦筋以外に何か影響はありますか?
若い方や急激に爪甲縦条が見られた場合は、まず過度な乾燥の有無を確認しましょう。次に、普段の栄養状態や生活習慣の偏り、強いストレス状態、体調不良など、思い当たる原因がないか考え、改善できることから始めていくことが大切です。
爪の保湿ケアとしては、ハンドクリームなどを使用して爪全体をしっかり保湿することをおすすめします。特に入浴後のケアが効果的で、爪が柔らかくなっているうちにクリームを塗布すると、より保湿効果が高まります。
爪に茶色や黒い縦筋が出ることもあるようですが、それはなぜですか?
これまで述べてきた縦筋には色の変化はありません。もし爪に茶色や黒い縦筋を認めた場合、それは「爪甲色素線条(※1)」と呼ばれ、疾患の可能性を疑う必要があります。最も多い診断は良性のほくろですが、メラノーマ(悪性黒色腫)の可能性もあるため、特に急に現れたり、色調が変化したり、色むらが見られる場合は、必ず皮膚科を受診しましょう。また、ほくろやメラノーマの場合、通常はひとつの爪にのみ生じますが、複数の爪に色素線条が見られる場合は、全身疾患や爪真菌症、手湿疹などが原因であることもあります。
※1:爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)とは爪に現れる茶色や黒い縦の線のことです。
縦筋になったときの改善や予防はできるんですか?
爪の縦筋の最も大きな原因は乾燥です。そのため、爪やその周囲の皮膚、特に根元の爪上皮をしっかり保湿することが大切です。縦筋が入るのを予防するためにも、日々の保湿を心掛けましょう。すでに縦筋が見られる場合は、外的・内的要因がないか振り返り、改善できることから始めましょう。原因が分からない場合は、一度皮膚科を受診することをおすすめ します。
爪の縦線になってしまう前に爪や手の保湿を心がけようと改めて思いました。日々のケアが大切だと実感しましたね。みなさんも、乾燥対策を忘れずに、健康な爪を保ちましょう!
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お話を伺ったのは
医療法人結城会 ゆうきクリニック(ホームページリンク)
伊東杏理先生
【心斎橋院】〒542-0081 大阪市中央区南船場4-4-3心斎橋東急ビル2F