みなさんは楽器を弾かれますか?
楽器といってもピアノ、ギター、サックスなど広く知られる楽器を始めとして世界各国には様々な楽器があります。日本ではなんと1,100万人以上、およそ国民の10人に1人が何らかの楽器を弾いているそうです。
そしてある調査によれば人気の楽器1位はピアノ、ついでギターといわれています。アコースティックギター、クラシックギター、エレキギターから最近はウクレレまで確かに人気がありますよね。
さて、今回はギターのことではなく、ギターを弾く際になくてはならない存在、爪についてのお話です。爪とギタリストのケアの変化についてお話しさせてください。
ギターや弦楽器で音を鳴らす時には爪を使います。ギターは、指(爪)で直接弦を弾く、ピック弾き、フィンガーピックで弾く、付け爪などをして弾く…等演奏する音楽や奏法によって違いがあるものの、爪が不可欠であることはいうまでもありません。ピックなどを使っていても指先に力を入れるには丈夫な爪で支える必要があるためです。
しかしながら、ギターの演奏者に爪の話をすると、大事にしている人はまだまだ少ないようにも感じてしまいます。
「楽器を弾いてて爪は割れてしまったよ。仕方ないな。」
「職業上爪は割れてしまうんだよ…」
「歳と共に爪が割れやすくなった。年齢だからあきらめてるよ。」
などの声を今もイベントなどで聞くことがあります。
ギター本体はそれぞれにこだわったものを使っていらっしゃる方も多いと思いますが、楽器と同様に実は大事な爪は意外となおざりになっている方もいるのではないでしょうか。
爪はケア次第で大きな差が出ます。冬のある日にひょんなことでうっかり爪を割ってしまった!これは多くの方が経験したことがあると思うのですが、偶然ではありません。蓄積した爪への負担が原因で起こってしまった、いわば必然ともいえます。しかしギタリストのネイルケアも、ここ10数年の間に徐々に変わりつつある…ということはご存知でしょうか。
まず、ギタリストの爪対策というと、これまで爪が割れたら瞬間接着剤で補強する。これは大昔からギタリストの間で広く知られてきました。クラシックギタリスト、フラメンコギタリスト、アコギのフィンガーピッキング、エレキギターなどジャンルは違っても使われてきましたので、実際に使ったことがなくても、何となく知っている人は結構いらっしゃるのではないかと思います。
しかし、瞬間接着剤を長く使っていることで爪が傷んでしまった。日々楽器の演奏する方の中にそういったお悩みを聴くようになったのも10数年前からだと思います。
下の写真は実際に爪を傷めてしまい、弊社のネイルサロンにお越しになられた方の画像です。
瞬間接着剤以外にも日常の中で全く気がつかずに爪を酷使しているってことも原因です。
爪はお肌の延長線にあります。つまり傷んでしまった肌の延長の爪を瞬間接着剤で固めても根本的な改善策にはなりません。一時的な策としてもさらに悪化を招く、そうした方のお話や実際の爪を拝見してきました。また、瞬間接着剤は乾燥を招く原因にもなります。
瞬間接着剤のみならず、爪の乾燥についてわかりやすくいえば、例えばお肌や髪の毛を一日に何度も界面活性剤入りの洗剤類、シャンプー、石鹸で洗っていたらどうなるでしょうか。ガッサガサになることは想像がつくと思います。爪の表面は毎日そんな過酷な環境で日々忙しく働いているといえるのではないでしょうか。
なんとなく歳のせいや生まれつきといってしまいがちな方は結構いらっしゃいます。しかし実は長い間爪を無意識に酷使していたことに気がついている方は意外と少ないものです。
だからこそ、傷んでみて初めて気づく。傷んだので瞬間接着剤で補強する。そして瞬間接着剤を取ってみるとますます爪が弱くなってしまう。そういったお悩みをお持ちの方はいらっしゃると思います。
まずは保湿ケアを! この一見ありきたりなような最も大切なことをお伝えする活動
私たちはおよそ30年にわたり、ネイルケアを専門に施術をしています。弊社スタッフに元プロのギタリストで音楽ディレクターだった者がいたこともあり、15年程前よりギタリストの爪ケアを取り組むようになりました。とはいえ、演奏家によって爪の使い方はマチマチですので、まずは現場で多くのギタリストの方のご意見をうかがいました。私たちが行った活動は主に以下のような活動です。
① ギタリスト向けの爪講座
ギタリストのみなさまを対象に爪ケアのセミナーを楽器店やギター教室で行ってまいりました。多くのギタリストのみなさまに爪のケアのご説明と共に爪との付き合い方について一緒に考える機会を様々な場所で開催しました。
実際に演奏家の方に指や爪のお話をすると、とても関心を持っていらっしゃる方が多いことにびっくりします。
そして、ご参加いただいたみなさまに爪のお悩みについてうかがったり、または他のギタリストの方の爪と比べたりしながら、爪について考える機会ができ、私たちも大変興味深く話ができました。
現代ギター社 ギタリストと爪のセミナー
② 日本のみならずアメリカ、ドイツ、中国など国内外の楽器フェアで爪のカウンセリング開催
あまり気にしていないようで、自分の爪の状態を実は心配な方は日本のみならず他の国にもたくさんいらっしゃいます。弊社では東京や大阪で開かれる大型楽器イベントに出展をするほかに海外の大型楽器イベントにも行って爪のケアの施術やトークをしてきました。
日本最大級の楽器展示会“楽器フェア”に出展 無料の爪カウンセリングの様子
関西最大の楽器展示会、南港、“サウンドメッセ”に出展 無料カウンセリングの様子
世界では米ロサンゼルスのNAMMショウと中国上海MUSIC OF CHINA
、独フランクフルトMUSIC MESSEの3つの楽器展示会が規模的にみても非常に有名です。日本では幕張メッセやビッグサイトで行っているようなイベント会場にて開かれています。中でも昨今の中国のギター熱は並々ならぬものがございます。弊社のギタリスト向けのネイルケア用品をご使用の方もいらっしゃいますので、爪のカウンセリングには大勢の方に来ていただきました。
上海で行われた大型楽器フェア MUSIC CHINAでの爪カウンセリングブース。
日本でも人気の高いフィンランドの有名ギタリスト、ペッテリ・サリオラさんと上海MUSIC CHINAにて。
独フランクフルトのMUSIC MESSEにて世界的に有名なFelipe Condeのブースにて爪のカウンセリング
米カリフォルニア州(パサデナ)のギタースクールにて爪のカウンセリング
また、私たちはイベント以外にもメディアでも爪の健康について積極的にご協力をしてまいりました。
メディアもここ10数年は爪に対する話題もだいぶ変わったと思います。
ギター雑誌で爪の特集なんて、昔は考えられませんでした。
雑誌をはじめとしたメディアもここ10数年の間に爪とギタリストの関係を少しずつ取り上げていただけるようになりました。
例えばこちらの特集。
リットーミュージック社の人気雑誌『アコースティックギターマガジン』誌にてなんと“ピック&ネイル”特集。爪のケア方法について、多くの有名プロミュージシャンのみなさんがアンケート形式で語っていらっしゃいます。まさに永久保存版ともいうべき画期的な企画です。弊社もしっかり取材協力をさせていただきました。
また、クラシックギターの権威ある雑誌『現代ギター』では10数ページに渡って爪の健康法が特集され、弊社が執筆を担当しました。
他にも『ウクレレマガジン』での爪ケア特集でもご協力をさせていただきました。
ここ10数年の間に一気に影響力を増してきたSNSやYouTubeでもありがたいことに弊社の商品なども様々な形でご紹介をいただいています。(日本のみならず海外のお客様が動画をアップしてくださるなど、本当に感謝の気持ちで一杯です。)
また、実際に日本でもトップのプロギタリスト、渡辺香津美さんや沖仁さん、猪居亜美さんを始め数多くのギタリストの方にお使いいただいています。
特に人気フラメンコギタリストである沖仁さんは共同で爪の保護・補強コート『kainaザ・ギタリスト』をプロデュースしていただきました。ありがたいことに、多くの方にご使用いただくきっかけとなりました。
割れてから修復をするのでなく、丈夫で無理のない爪の環境づくりこそがこれからは大事!
私たちは10数年前にギタリストと爪の関係について何かお手伝いができないかと始めたのですが、実際にもっと昔からみなさんそれぞれにお悩みであったのではないかと思います。だからこそ関心を持った方がいらっしゃって、少しずつ意識が変わってきたのではないでしょうか。
男なのにネイルケア?というのには、遠い昔の話。今はそんなことは全然気にせずに爪のケアをされている方がたくさんいらっしゃいます。弊社のサロンにお越しになるお客さんの半分は男性です。
割れてから補強をするのでなく、割れないために健康な爪を保つためのネイルケア。ギタリストにとってちょっと面倒くさい、と思っていたことも実際に多くのプロ、アマのギタリストのみなさまが取り組み始めているんです。
ギターは手軽でとても楽しい楽器です。多くの方が健康で丈夫な爪で幾つになっても楽しめることは非常に理想的だと思います。高齢化の進む日本ですが、若い子もお年寄りも誰でも気軽に楽しめるギターで人生を楽しく豊かにできたらと思います。私たちも今後もお手伝いをさせていただきたいと考えています。