こんにちは。
日本保健福祉ネイリスト協会(JHWN) 福祉ネイリスト兼認定講師の東條 彩乃です。
「福祉ネイリスト」って何?
とご存知ない方はぜひこちらの記事も読んでみてくださいね。
今日は私たち福祉ネイリストも施術することの多い高齢者の爪のお手入れと爪切りについてお伝えします。
■高齢者の爪の特徴
まず高齢になると爪はどのように変化するでしょうか?
一般的に爪は年齢とともに成長速度が遅くなり、水分量も低下します。
爪が厚く硬くなりやすく、柔軟性も低下するため、欠けたり割れたりするとそこから一気に折れてしまいやすくなります。
■高齢者の爪の手入れの実情
実際に自宅で身の回りのことができている高齢者の方でも、
少しずつ握力が低下することにより、爪切りを使って自分で爪を切ることが困難になってきます。
また前かがみの体勢がとりづらくなり足の爪を切ることが困難になったり、視力の低下により爪先がよく見えなくなり誤ったところを切ってしまう、というトラブルも増えてきます。
■間違った手入れをしてしまうと…
間違った切り方や、反対に爪を切らないことで起こるトラブルとして以下のようなことが挙げられます。
〇深爪
切りすぎた部分の皮膚の炎症やそこから感染症につながってしまうことも。
持病などによっては壊死・全身疾患などの恐れも出てきます。
〇巻き爪・陥入爪
痛みによる歩行困難、食い込んだ部分の皮膚の炎症。
こちらも持病などによっては壊死・全身疾患の恐れも出てきます。
〇肥厚爪
爪を切らずに放置してしまうことで、とくに足の爪は靴の中で圧迫され角質化し、地層のように厚みが極端に増す「肥厚爪」という状態になってしまう可能性や、爪が剥がれてしまう可能性があります。
■正しい爪切りの使い方
ではどのように爪を切ればいいのか?ですが、
ご自身で爪を切ることができる方は自分の爪に合った爪切りを選ぶことが重要です。
一般的な家庭によくあるテコ型と呼ばれる爪切りでも、刃先の形がアーチのもの、直線のものなど種類がたくさんありますので自分の爪の形に合った使いやすいものを選ぶといいと思います。
またその他にはニッパー型やハサミ型の爪切りもあります。
いずれも切れ味の悪くなったものは避け、切る時も「バチンバチン」と勢いをつけずに端から少しずつ細かく切ることによって、衝撃によるヒビや欠け、二枚爪になるリスクを軽減することができます。
サロンでは切った後エメリーボードという爪やすりを使ってなめらかに整えることで、
角をなくし、サイドが皮膚に食いこんだり、皮膚を掻いてしまった際に傷つけたりしないようにしています。
■自分では難しい方はプロに頼ってみて
そんなお手入れが自分では難しいな、と感じる方はぜひプロに頼ってください。
ネイルサロンでは爪を切るだけのお手入れもOK!
高齢者の爪の特徴について学んでいる福祉ネイリストがいるサロンならさらに安心です。
私のサロンに通ってくださっているお客様の一人で70代後半のOさんは、2年ほど前、巻き爪による痛みがひどくて歩けなくなってしまったそうです。歩かないことで体重が増加し、さらに巻き爪が悪化してしまいました。クリニックで巻き爪の治療をした後も医師から「自分で爪を切らないように」と助言を受け、地域包括センターに相談したところ、私のサロンを紹介されたことがきっかけで来てくださるようになりました。
今では月に1度の来店で定期的に正しい切り方でのお手入れをし、その甲斐あって今ではとても元気に歩いていらっしゃいます。
一般的なネイルサロンのほかにも高齢者の爪切りを専門にしているサロンや、高齢者施設・個人宅に出張して施術しているネイリストもいます。
全国の福祉ネイリストは正しい知識をもってそういった施術を行っていますので、ぜひお近くで活動している福祉ネイリストを探してみてください。
https://fukushinail.jp/schoollist
■最後に
全身の中では面積が小さく、たかが爪、と言われがちな爪ですが、少しのトラブルから生活がしにくくなったり、歩くことが困難になったりと侮ることができない大切な体の一部です。
ぜひ正しい切り方でトラブルを防ぎ、爪も体も健康に年齢を重ねていけることを願っています。