アクリルネイルで指先を美しく飾った後、かゆみや赤みといったトラブルに悩んでいませんか?それは「アクリルネイルアレルギー」かもしれません。アクリルネイルは強度があり、美しいフォルムを作れるため人気の施術ですが、その成分が原因でアレルギー反応を起こすことがあります。
この記事では、アクリルネイルアレルギーの症状から原因、そして症状が出てしまった時の正しい対処法まで、わかりやすく解説していきます。不安な気持ちを解消し、適切な対応を取るための参考にしてください。
アクリルネイルアレルギーで起こる主な症状
アクリルネイルアレルギーの症状は、指先や爪の周りに現れることがほとんどです。個人差はありますが、代表的な症状を知っておけば、初期段階で対処できます。
指先のかゆみ・赤み・熱感
アレルギー反応の初期症状として最も多いのが、指先や爪の周りの強いかゆみです。施術から数時間後、あるいは数日後にむずむずとしたかゆみが現れ、次第に赤みを帯びて熱を持っているように感じられます。
水ぶくれやじゅくじゅくした状態
かゆみや赤みと共に、小さな水ぶくれ(水疱)ができることもあります。この水ぶくれを掻き壊してしまうと、液体(浸出液)が出てきて、じゅくじゅくした状態になります。ここまで進行すると、強い痛みを伴うことも少なくありません。
爪の周りの皮膚の異常
アレルギー症状が慢性化すると、爪の周りに紅斑や水疱を伴う強い痒みや熱感が現れ、色素沈着や爪の変形が起こることがあります。さらに悪化すると、皮膚に亀裂が入り、ひび割れやあかぎれのような状態になることもあります。
悪化すると爪がはがれることも
重症化すると爪が根本から浮き上がってはがれてしまう「爪甲剥離症(そうこうはくりしょう)」に至る可能性もあります。二次感染が起きると膿がたまることもあります。少しでも異常を感じたら、放置せずに早めに対処することが重要です。

なぜ起こる?アクリルネイルアレルギーの主な原因
では、なぜアクリルネイルでアレルギーが起きてしまうのでしょうか。その原因は、アクリルネイルを形成する化学物質にあります。
原因物質のひとつアクリル酸モノマー
アクリルネイルアレルギーの原因物質のひとつに、「アクリル酸モノマー」と呼ばれる化学物質があります。アクリルネイルは、「アクリルリキッド(モノマー)」と「アクリルパウダー(ポリマー)」を混ぜ合わせて作られますが、このリキッドに含まれるモノマーがアレルゲン(アレルギーの原因物質)となるのです。
硬化しきっていない液体への接触が危険
アクリル酸モノマーは、化学反応によって硬化するとアレルギー反応を起こしにくくなる性質があります。しかし、硬化する前の液体状のモノマーが皮膚に直接付着すると、皮膚から吸収されてアレルギー反応を引き起こすリスクが高まるのです。適切な知識や技術がないまま施術を行い、リキッドが皮膚にはみ出すと、アレルギーを発症しやすくなります。
もしかして?アレルギー症状が出た時の正しい対処法
もしアレルギーのような症状が出た場合、慌てず適切に対処することが悪化させないための鍵です。
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症状レベル |
主な症状 |
推奨される対処法 |
|---|---|---|
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初期 |
軽いかゆみ、ほんのりとした赤み |
すぐにアクリルネイルをオフし、様子を見る。かゆみが強ければ冷やす。 |
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中期 |
強いかゆみ、腫れ、小さな水ぶくれ |
直ちにアクリルネイルをオフし、早急に皮膚科を受診する。 |
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重度 |
激しい痛み、広範囲の水ぶくれ、じゅくじゅくした状態 |
オフが可能であれば行い、すぐに皮膚科を受診する。無理なオフは避ける。 |
まずはすぐにアクリルネイルをオフする
アレルギーの原因となっているアクリルネイルが爪に乗っている限り、症状は改善しません。まずは原因物質を除去するために、できるだけ早くアクリルネイルをオフしましょう。ただし、ご自身で無理にはがすと爪や皮膚を傷つけてしまう可能性があるため、施術したネイルサロンに連絡し、アレルギーの症状が出ていることを伝えてオフしてもらうのが最も安全です。
患部を掻かずに冷やす
強いかゆみが出ると無意識に掻いてしまいがちですが、掻き壊すことで症状が悪化し、細菌感染のリスクも高まります。かゆみが我慢できない時は、保冷剤をタオルで包んだものや、冷たい水で濡らしたタオルなどを当てて冷やせば、一時的にかゆみは和らぐでしょう。
できるだけ早く皮膚科を受診する
セルフケアで症状が落ち着いたとしても、一度アレルギーを発症した事実に変わりはありません。根本的な原因を特定し、適切な治療を受けるために、必ず皮膚科を受診してください。どの物質にアレルギーがあるのかを正確に知ることが、今後の対策の第一歩となります。
皮膚科で行われる検査と治療法
皮膚科では、症状の診察に加え、必要に応じてアレルギーの原因を特定するための検査や、症状を抑えるための治療が行われます。
原因物質を特定するパッチテスト
どの化学物質がアレルギーの原因となっているかを調べるために、「パッチテスト」という検査を行うことがあります。これは、原因の可能性がある物質を少量ずつ皮膚に貼り付け、どのような反応が出るかを確認する検査です。原因物質が特定できれば、今後その物質を避けることでアレルギーの再発防止につながります。
炎症を抑えるステロイド外用薬
現在起きているかゆみや赤み、腫れといった皮膚の炎症を抑えるために、ステロイドの塗り薬が処方されるのが一般的です。医師の指示に従って適切な量を適切な期間使用すれば、辛い症状を効果的に和らげることが可能です。
かゆみを和らげる抗ヒスタミン薬の内服
かゆみが特に強い場合には、アレルギー反応を内側から抑える「抗ヒスタミン薬」の飲み薬が処方されることもあります。内服薬を使用すれば、日常生活に支障が出るほどの強いかゆみも軽減されるでしょう。

アレルギーでもネイルを楽しむための選択肢
一度アレルギーを発症すると、原因となったアクリルネイルはできなくなってしまう可能性が高いです。しかし、工夫次第では他の方法でネイルを楽しむことができます。
アレルギー対応の製品を選ぶ
近年では、アレルギーの原因となりやすい特定の化学物質を含まない、または配合量を減らした「アレルギー対応」を謳う製品も開発されています。ただし、「アレルギー対応」だからといって全ての人にアレルギーが起きないわけではありません。使用する前には必ずパッチテストを行い、ご自身の肌に合うかを確認することが重要です。
ジェルネイルを検討する際の注意点
アクリルネイルでアレルギーが出た場合、ジェルネイルなら大丈夫と考える方もいるかもしれません。しかし、ジェルネイルにもアクリル酸系の成分が含まれていることが多く、交差反応(似た構造の物質に反応すること)を起こす可能性があります。ジェルネイルを試す場合も、アレルギー対応の製品を選び、必ずパッチテストを行いましょう。
今後のために知っておきたい予防策
これからアクリルネイルを試したい方や、今は症状がない方も、アレルギーを予防するために以下の点を心掛けることが大切です。
信頼できる技術力のあるサロンを選ぶ
アレルギーの最大のリスクは、硬化前のリキッドが皮膚に付着することです。衛生管理が徹底されており、皮膚にはみ出さないようていねいに施術を行う、経験と知識が豊富なネイリストがいるサロンを選びましょう。
施術前にパッチテストを受ける
ネイルサロンによっては、施術前にパッチテストを受けられる場合があります。アクリルリキッドを少量、腕の内側などの目立たない皮膚に塗布し、24時間から48時間ほど様子を見てアレルギー反応が出ないかを確認するのです。その後72時間後、1週間後にも皮膚の状態を確認するケースもあります。アレルギーが心配な方は、事前にサロンに相談してみましょう。
傷がある時や体調不良時の施術は避ける
指先にささくれや切り傷などがあると、そこからアレルゲンが侵入しやすくなります。また、睡眠不足やストレスなどで免疫力が低下している時も、アレルギーを発症しやすくなるといわれています。爪や皮膚、そしてご自身の体調が万全の時に施術を受けるようにしましょう。

まとめ
アクリルネイルアレルギーは、誰にでも突然起こりうる皮膚トラブルです。もし、かゆみや赤みなどの異常を感じたら、まずはアクリルネイルをオフして皮膚科を受診しましょう。 原因を正しく理解し、適切な対処と予防を行えば、リスクは最小限に抑えられます。


