お悩み相談 「あんり先生に聞いてみよう!」~第5回「手指、爪のトラブル」について~

第5回は「手指、爪のトラブル」についてです。ささくれやさかむけ、たてすじ、横溝はなぜ起きるのか。身近なお悩みで見過ごす方も多いかもしれません。改善できることは取り入れたいですよね。何からはじめればいいのでしょうか。

 

「ささくれ、さかむけ」

 主な原因は爪周囲の皮膚の乾燥と、洗剤などの刺激が加わることによって起こります。

 爪が伸びるとき、爪の根元や甘皮の皮膚が引っ張られますが、爪周囲の皮膚が乾燥していると、乾燥した皮膚はその力に耐えられないため、表面の皮膚が引き裂かれてしまい、ささくれ、さかむけが起こります。

 また、乾燥によってバリア機能が崩れた爪周囲の皮膚にアルコール消毒、洗剤、ネイル時に使う薬剤などの刺激が加わることも、ささくれを引き起こしやすくなる原因となります。

 さらにささくれでできた傷口に細菌などがつき感染すると、爪囲炎(そういえん)となり赤く腫れ、痛みも生じるようになります。悪化すると指全体が赤く腫れ上がり、膿が出ることもあるので気をつけましょう。

 上記のように、感染し悪化してしまうのを防ぐために、ささくれを無理やり引っ張って傷を広げるのは絶対にやめてください。ささくれができたら、甘皮のケアなどに使うニッパーなどで、めくれた皮膚の根元ギリギリを切り、さらに爪周囲にオイルやクリームを塗ってしっかり保湿しましょう。すでに傷口ができてしまっている場合は、しっかり洗った後に傷用の軟膏やテープで保護し、感染を防いでください。 日頃からこまめに爪とその周囲の保湿を行い、爪を作っている爪の根本に負担がかからないようにしておくことが大切です。

 ジェルネイルやマニキュアは、付け替えをする際に爪に負担がかかります。定期的に行なっている方は特に日頃から保湿をし、洗剤などを扱う場合は手袋を着用し爪周囲の皮膚への負担を減らしていくように心がけましょう。

 

「たてすじ」

 爪甲(そうこう)の縦の筋は、爪甲縦条(そうこうじゅうじょう)といわれ、老人性変化の一つとしてみられることが多く、40代の頃から気になることが増えます。進行すると爪甲縦裂症(そうこうじゅうれつしょう)という爪甲が縦に割れやすい状態となります。

 年齢を重ねると、皮膚の水分や油分が減ってくるため、爪を形成する爪母の水分や油分も不足し、爪甲がこのような状態になってきます。そのほかの原因としては、外傷、湿疹、強皮症、貧血などがあります。

 日頃から、ささくれの場合と同じように乾燥を防ぐ対策を行なっていれば、たてすじが目立ちにくくなったり進行を遅らせることもできる可能性もあります。

 

「横溝」

 爪甲に横向きの凹みや溝ができる状態を、爪甲横溝(そうこうおうこう)といいます。爪を形成する爪母(そうぼ)に何らかの障害が生じて、爪甲の成長が一時的に抑制された結果、横溝が生じます。爪母で爪が作られてから表面に出てくるまでは時間がかかるため、何か障害が起こってから数ヶ月後に、その部分が溝として現れます。つまり、爪の横溝は過去の何らかの障害、不調のしるしなのです。

 また、溝の幅や深さもさまざまであり、溝の幅は障害が起こっていた期間、溝の深さは障害の強さを現しています。 

 外傷などの局所的な原因で横溝が出るのは特定の爪に限られますが、感染症や糖尿病、薬剤、出産、亜鉛欠乏症などの内因性で生じた場合はすべての爪に影響します。 

 先ほど述べたように爪の横溝は過去の障害や不調を現しています。何本もの深い溝や、すべての指に横溝がみられる状態が続いている場合は、何かしらの病気が潜んでいる可能性があるので、病院で受診するようにしましょう。

 

みなさま、いかがだったでしょうか?

保湿で改善できることもあるようなので、日頃からキューティクルオイルやハンドクリームなど、こまめにケアしたいですね。

 

お話を伺ったのは

医療法人結城会 ゆうきクリニック

伊東杏理先生

 

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