お悩み相談 「あんり先生に聞いてみよう!」第11回「巻き爪」について・2

第11回は前回に引き続き「巻き爪」についてです。
今回は、巻き爪になったときの対処法についてです。
どのように過ごすのがよいのか詳しく聞いていきましょう。

  

「巻き爪は必ず治療が必要なのでしょうか?」

痛みがなく、日常生活に支障がない場合は、積極的な治療は必要ありません。前回お話ししたように、爪はスクエアカットに整え、原因を取り除き、インソールでバランスを調整するなど、悪化を防ぐことが大切なのです。

 

「どんな治療法がありますか?」

炎症はないけれど痛みがある場合や、陥入爪を繰り返す場合には、変形した爪を正常に戻す矯正治療が効果的です。
特殊な金属で作られたワイヤーや矯正器具を爪に取りつけ、徐々に爪の形を整えていきます。

矯正器具には、爪の先端に取りつけるタイプ、爪の縁にひっかけて使用するタイプ、爪に穴を開けて固定するタイプなどがあり、治療期間は3~6か月程度が目安となります。

 

「手軽にできる治療法もあるのですか?」

はい。爪の変形そのものを治すわけではありませんが、いくつかの方法があります。
皮膚にテーピングをして爪との隙間を作る方法や、爪の角と皮膚の間に綿球を挟むコットン療法などが代表的です。

また、切り過ぎた[^1]陥入爪の角にアクリル樹脂で爪を継ぎ足し、皮膚を保護する方法も選択肢の一つです。

 

「炎症を起こしている場合はどうするの?」

変形した爪が周囲の皮膚に食い込み、炎症を起こしている場合は陥入爪と診断されます。
保険診療で抗生物質の内服を行い、肉芽がある場合は外用薬の処方や液体窒素凍結療法を実施します。
症状が軽い場合はテーピング法やコットン療法を併用し、炎症が強い場合は陥入している爪を部分的に除去したり、皮膚を保護したりする治療が必要になるでしょう。


フェノール法という治療法もあり、これは食い込んでいる爪を根本から切除し、[^2]フェノールを塗布して再び爪が生えないようにする手術です。また、ガター法では陥入した爪と皮膚の間にプラスチックチューブを入れて保護します。

難治性(治りにくい)の場合は?

これまでの治療法で改善が見られない場合、変形した爪を全て除去し、爪床を平らに戻して新しい爪が正常に生えるよう誘導する手術を行うこともあります。爪の下の骨が突出している場合は、その骨を削る治療も選択肢となりますが、爪が元通り生えそろうまでに半年以上かかるため、慎重に適応を判断する必要があるのです。

巻き爪の治療は皮膚科、形成外科、整形外科などで行われています。症状でお困りの方は、まずいずれかの科を受診し、原因の特定を含めた診療を受けることをおすすめします。


[^1]:陥入爪とは爪の端が皮膚に食い込んで炎症や痛みを引き起こす状態のことです。
[^2]:フェノールとは消毒や溶剤として使われる物質のことです。
[^3]:爪床とは爪の下にある皮膚の部分で、爪を支える土台のことです。

 

日常生活での予防や軽度のケアから手術まで幅広い選択肢があることがわかりました。巻き爪の状態に合わせた適切な対応が重要なんですね。理解が深まりました。

 

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お話を伺ったのは
医療法人結城会 ゆうきクリニック
伊東杏理先生
【心斎橋院】〒542-0081 大阪市中央区南船場4-4-3心斎橋東急ビル2F

 

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