第14回は「タコと魚の目」についてです。
足の裏や指にできるタコや魚の目で悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
同じように見えても実は違うタコと魚の目の違いや対処法について、医療の視点からお話をうかがってみました。
「タコと魚の目の違いと診断ポイントは何ですか?」
両方とも皮膚のある特定の場所への摩擦や圧力などの慢性的な刺激を受けて、角質が硬く分厚くなった状態です。医学的には、タコを胼胝(べんち)、魚の目を鶏眼(けいがん)と呼びます。タコは刺激を受けた部分の角質が増殖して厚く硬くなっていく状態と言えるでしょう。一方、魚の目は真ん中に角質の芯があり、この芯が内側に食い込んで増殖していく点が特徴的です。この芯があるため、魚の目は歩いたりして圧がかかると痛みを伴うのです。基本的な診断は、芯があるかないかで判断しています。
これらとは全く別の症状として、尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)などのイボの可能性もあるので、特に急にできてきた場合などは皮膚科で診断してもらうことが大切です。また、魚の目はほぼ足の裏にできますが、タコは他の場所にもできることが多いという特徴があります。例えばペンダコや座りダコ、指しゃぶりでできる吸いダコなどが挙げられます。
「予防するために日常で心がけることは何ですか?」
原因となる慢性的な刺激には、足に合わない靴、長時間の歩行、外反母趾などの足の変形、歩き方の癖、加齢による皮膚の弾力低下や、すり足歩行などがあります。また、表面に近い所に骨や関節がある場合や、職業柄同じ場所に過度に刺激が加わるなどの様々な要因も考えられるでしょう。これらの要因をできる限り取り除くことが予防につながります。特に足にできることが多いため、足に合う靴を探したり、中敷きや装具を使用して圧力を分散させてあげることが大切だと言えます。
「一度できたタコや魚の目が治りにくい理由は何ですか?」
基本的には、その人の足の形や歩き方の癖、生活習慣、職業など、取り除くのが難しい要因が多いため、治りにくい傾向があります。
「病院に行く場合は何科に行ったらいいですか?」
一般的には、まずは皮膚科で診断と加療をすることが多いですが、足の変形などが関係する場合は、整形外科への受診をおすすめします。歩行時に痛みがある場合や日常生活に支障をきたす場合は受診するとよいでしょう。圧がかかっていない状態で痛みがある場合は、感染している可能性があるため、すぐに受診することが大切です。
糖尿病の方など末梢神経障害がある場合は、痛みを感じないため感染の発見が遅れ、気づいたときには手遅れになっている危険性があります。そのため、足は常に清潔に保ち、自身でも毎日観察し、定期的にケアすることが必要です。
「タコや魚の目と爪の病気(巻き爪など)に共通する原因はありますか?」
共通する原因として、足に合わない靴や歩き方、外反母趾などの足の変形、老化など多くの要素が挙げられます。
「足指の魚の目やタコは巻き爪などの病気に関連しますか?」
先ほど述べたように共通の要因が多いため、魚の目やタコがある方は巻き爪も併発してることが多いと言えるでしょう。
「タコや魚の目が見た目に与える心理的なストレスを軽減する方法はありますか?」
見た目を早く改善するには、病院で分厚くなった角質をカミソリやメス、専用の器具などで芯も含めて削り取ってもらうのがよいでしょう。自分ですると削り過ぎて傷を作ってしまうこともあるため注意が必要です。また角質を柔らかくするスピール膏など貼って使用するものは、使い方を間違えると周囲の正常な皮膚まで浸軟させてしまい感染のリスクが上がります。使い方には十分な注意が必要です。
足に合う靴を履いたり、歩き方を改善、足底板の作成などで要因を取り除く努力をしても、タコや魚の目はなかなか完治しないことが多いでしょう。改善しない場合は定期的に皮膚科や整形外科などで加療してもらうことによって負担を減らすことができるはずです。
タコと魚の目の違いがわかると、適切なケアができそうですね。自己流の処置で傷を作ってしまうと逆効果なので、症状が気になる方は専門医に相談するのが一番よさそうですね。
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